若先生 肘の痛みを訴える方で特に多いのが肘の外側の痛み(外側上顆炎・テニス肘)です。
この痛みは特に手首から肘の外側についている筋肉(主に短橈側手根伸筋)が手首を反らす際や握る(グーを作る)際に働き、これらの動作を頻繁に行うと筋肉が骨への付着部を繰り返し引っ張ることとなり、また周囲の腱や脂肪組織との摩擦を起こしその場所で炎症が起こり痛みが発生します。手はよく使うだけに難しいところもありますが頑張りましょう!
発生について

頻繁に手首を使う職業、例えばハンマーをよく打ったり、包丁で切る作業が多い、検品作業等で頻繁に手首を反らしたり、パソコン作業でキーボードを打つことが多い、タオルをよく絞る等が挙げられます。
日常の作業等で手首を繰り返し甲側に反らす動作で肘の外側が痛くなればこの病態が疑われます。
なぜテニス肘と呼ばれるの?

テニスプレイヤーに特に多いからです。と言ってしまうとそのままなのですが、アメリカの統計によると全テニス人口の約1/3がテニス肘にかかっているというデータがあるようです。(スポーツ外傷・障害Q&A 南江堂)
テニスでバックハンドで打つときに手首を手の甲側に反らす(手の甲側に曲げる)筋肉(主に短橈側手根伸筋)が働きます。
繰り返しこの筋肉に負担がかかると、筋肉自身の疲労や、筋肉の骨への付着部での炎症、筋肉の微小断裂、周囲の腱や脂肪組織との摩擦、筋肉を包んでいる筋膜の損傷が起こり、手首を反らす時に肘の外側に痛みが出てきます。
また、バックハンドによるテニス肘ばかりではなくてフォアハンドによるテニス肘ももちろん存在します。
テニス初級者になるとグリップを示指、中指で常に強く握る傾向が強くいため短橈側手根伸筋への負担が増大し発生しやすくなります。
テニス中級以上では強いトップスピンをかけるため前腕回外位から回内位に急速に回旋する運動が増大し、短橈側手根伸筋への負担を増大させ発生しやすくなります。
またサービスなどで強力に手首を手の平側に曲げる動作等が繰り返されると、手首を曲げる筋肉は肘の内側から起こって、手首の手の平側についているため、肘の内側に痛みが発生することもあります。
テニス肘が起こるメカニズム
短橈側手根伸筋、共同腱の痛み
主な原因となる短橈側手根伸筋は総指伸筋と尺側手根伸筋と同じ腱を共有しています。
これらの共同腱は周囲組織と摩擦が生じやすく疼痛発生の原因となります。

関節包や外側側腹靱帯、外側筋間中隔とも連続性があり痛みは肘まわり全体に波及していることもあります。
脂肪組織からくる痛み
パソコン作業では前腕が手のひらを下にした回内の状態で手首を返す動作が多くなる。
この状態では回外筋という筋肉が常に伸ばされた状態となりその上の短橈側手根伸筋が伸び縮みを繰り返し間にある脂肪組織で摩擦が生じ炎症を起こすことがあります。(図には脂肪組織が載っていません)

姿勢、肩甲骨の位置問題
デスクワーク等で不良姿勢が続くと肩甲骨の位置が外寄りで固定(猫背化)してしまい背中を伸ばそうにも伸ばせない、また動作の際に肩甲骨の動きが少ないため前腕や手首を過剰に使用するようになり肘周りの痛みを発生させやすくなってしまいます。

テニス肘(外側上顆炎)の検査方法
Thomsenテスト

肘を伸ばした状態で、手首を甲側に返すのに対し抵抗を加えると肘外側に痛みが誘発される。
中指伸展テスト

肘を伸ばした状態で、中指を上に反らしそれに対し抵抗を加える。そうすると肘外側に痛みが誘発される。
チェアテスト

肘を伸ばし手の甲を上に向けたまま、椅子を持ち上げる。そうすると肘外側に痛みが誘発される。
症状による重症度の目安
当院における重症度の目安です。あくまでも目安としてお考え下さい。
軽度:原因動作をした時だけ痛む
中度:原因動作終了後、しばらく痛みが続く
重度:原因動作終了後長いこと痛みを感じ、日常のちょっとした動作でもひびくような痛みがある。見た目にも腫れている。
テニス肘に対する当院の施術
先のメカニズムの項で述べたように短橈側手根伸筋の緊張、共同腱の炎症、脂肪体の摩擦による炎症、姿勢等の要因が混ざり合っていることが多いためそれらに対し施術していくことになります。
①短橈側手根伸筋や脂肪体等痛みのある患部に対する施術
②猫背等脊椎の伸展制限等、肩甲骨の不動化に対する施術
この2つを押さえていくことが重要となります。
当院では①に対しては短橈側手根伸筋のの筋の動きをよくする、傷ついた共同腱や脂肪体の瘢痕や癒着をはがすため筋膜リリース(グラストンテクニック・ファシアスリックテクニック)を積極的に行います。
この施術は患部の筋・筋膜の緊張の減弱、癒着や瘢痕組織の剥離、患部に意図的に炎症を起こすことにより自己の免疫反応をしっかり起こさせるのに重要です。
②に対しては体幹、肩甲骨の柔軟性を取り戻し可動域を改善し肘への負担を少なくするように手技や鍼灸施術、筋膜リリースで対応していきます。
古来より伝わるツボと、筋肉の流れや連結を考慮した、東洋医学と西洋医学をうまく融合させた施術を行っております。 鍼灸は関節の痛みのみならず、胃腸等の内臓機能を整えたり、精神的なストレス疾患にも効果が認められております。
自身でできるセルフケア
自身でできるセルフケアとしてまず最も重要なことは日常生活の中で痛みを感じる回数を減らすことです。
「それができないから苦労している」と思われそうですが、作業環境やスポーツ動作をよく見なおしてみてください。
デスクワークならキーボードの角度やマウスの形、手首が反る角度を緩やかにしてあげれないか考えてみてください。
最近では手首を反らさずに使えるマウスやキーボードの手前に置くことで手首のそりを緩やかにするクッション等も販売されているようです。
症状が強いとそれだけで良くなるものではないですが、長時間行う作業であれば細かく手首が反ったりする回数は何千、何万となってきます。
そのため作業環境を少しでも変えれると負担は大きく減少する可能性があるため一度よく考えてみるべきです。
原因動作を行なった後にはアイシングをすることが良いでしょう。
原因動作を行うとどうしても炎症が起きるのでできるだけ炎症を強く起こさせないためにアイシングは重要です(袋に氷と水を入れたものや保冷剤をハンカチで巻いた物等で15分間冷やすと良いでしょう。)
テニス肘のセルフストレッチ
テニス肘の状態を作る緊張状態にある筋の緊張を緩和させることはとても重要です。ここでは自宅でできるセルフストレッチをご紹介したいと思います。
肘の外側が痛い場合(外側上顆炎)
肘を伸ばしたまま、前腕をやや内にひねり、手首を手のひら側に曲げ20秒間伸ばします。更に指から曲げるようにするとストレッチ効果は高まります。

肘の内側が痛い場合(内側上顆炎)
肘を伸ばしたまま、手のひらを上に向け指のあたりを持って手の甲側に返し20秒間伸ばします。

肘の外側の痛み・テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の症状でお悩みなら、東成区、緑橋、森ノ宮エリアにある坂本整骨院・鍼灸院にご相談ください。


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